《別記》 アイ(I)は勝つ

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まあ、そうだとは思った。 やはり、しばらくはこの世界に腰を据えて、ゆっくりと根回ししていくしかない。   『当てはあるの?』 「当てはある……けど、正直厳しい……」 それだけしか答えていないのに、シドは笑った。 『そっか、その手が! 大丈夫だって、よ、絶対! ……頼れよって……前に言ってくれたじゃないか』 「……。 びっくりした。 なんで、分かった?」 『兄ちゃんの自慢の弟だから、だよー。 ていうかね、兄ちゃんは無意識なんだろうけど。 火のエンフレイム関連の話になると、鼻の辺りがピクピクって動くんだよねー』 森の王である自分の、唯一無二の大事な親友……火の王であるエンフレイム・ゴウ。 彼なら必ず応えてくれる……そう思った。 時代も空間も次元でさえも飛び越えて、絶対に力になってくれる、と。 ただ、彼はずば抜けた身体能力と戦闘能力、素晴らしいリーダーシップを誇るが、魔法の類いは専門外なのだ。 自分が発するSOSに気がついてくれるかどうか……。 でも、もしも……もしも、来てくれるのならば。 正直、彼の身が少々心配だ。 なぜなら、ララは男同士のあれやこれやが大好物だから。 「ふおぉぉお! this is 最高にちょうどいいモンダ……! 適齢期のオノコ、しかも親友設定、くっはぁ最高か……!」そんな彼女の台詞が、なぜか余裕で脳内再生されてしまった。
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