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『……お姉さん』
「はい?」
シドがいきなり、こちらを振り向いた。 その眼光は相当に鋭かった。
『俺が見えてるんだよね? 』
「え? あぁ、はい……」
『つまり。 お姉さん……大魔王だよね?』
「……ほぇ?」
『俺の兄ちゃんの体を返せ! 兄ちゃんから離れろ、この人でなし!!』
シドはいきなりベッドを蹴るようにして跳ね上がり、抜刀した。 き、危険物持ち込み禁止……! マモちゃん、貴方のベッドを譲る前に身体検査くらいはしといて……って、それどころじゃない!
シドはか弱い腐女子の私の眼前に、剣の切っ先を突きつけてきた。
「な、何かの間違いでしょ……大体霊感が強い人なら、霊体が見えてもおかしくないんじゃないの?」
今まで生きてきて、霊体験なんてしたことないけど……今はそこはお口にチャックってヤツで。
『うるさい! こんの大魔王、《べノーラ》め!』
……シドにそう言われた瞬間。 視界が揺れた。
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