アイ(愛)はカツカツ

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アイ(愛)はカツカツ

瞬間的に酷いめまいがして、ギュッと目を瞑った。 数秒後、怖々と目を見開いてみると……世界が変貌していたのだ。 正確に言うと、周辺がマモちゃんの部屋ではなく、ダークグレーの空が広がる薄ら寒い空間……寂れた森になっていた。 そして変貌は私にも及んでいる。 なんともチープなどこぞやの大魔王と化していた。 イケメンならともかく、図体ぶっとい醜い肉塊のようで、無駄にデカい。戦隊ものの悪役怪獣みたい。 重要ポイントとして、身体はシースルーだった。 慌てて周辺を見渡すと、傍らに見知らぬオトコが仰向けで倒れている。 私の目には、それはもうご褒美かというほどのいいオトコに映った。 なんともけったいな……失礼、ファンタジー世界のローブをカジュアル化したような、そんな衣装をお召になっている。 それだけのことしか把握出来ていないのに、私の意識とは全く関係なくその大魔王が喋りだした。 『小童め……まったく、我の思い通りにならないガキが……!』 『……ずっと、追いかけてきたんだ……ずっとずっと。 お前になんか、分っかんないだろうけど……!』 シドがこちらを凝視する。 うえぇ、なんで私が睨まれなきゃいけないの? ……そうか、私の意識はこのブチャイクな化け物大魔王に宿っているから、なのか。 いやいやいや、なんで、なんでよ? たしかに私は腐女子だし腐ってるかもしれないけれど。 私だって今まで大魔王じゃなくて『野辺 ララ』として、一個人として生活してきたのに、BLしか勝たん、NO BL、NO LIFEを熱弁して過ごしてきたというのに……!
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