第一章・・・十六歳の殺人鬼。

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「おはよう、滉大。」 教室に入り、オレが一番最初につくり笑顔で挨拶をするのは、このクラスで一番の人気者で、トモダチ(仮)の筒井 滉大(つつい こうだい)だ。 先に言っておくが、オレはコイツが心底嫌いだ。 「やぁ、泉澄くん。 相変わらず今日もギリギリだね? それになんだか今日は一段と眠そうだ。 保健室で少し休んできたらどうかな? 必要なら俺が連れて行くよ。」 …な?ウザイだろ? 最初は善人ぶって、どんなクソ男なんだろうかと割と楽しんでいたが、この男は家族や周りの人からの愛情を真に受け、素直に育った生粋の善人だったのだ。 しかもイケメンで高身長、成績優秀で、スポーツ万能。 なんでもソツなくこなせるタイプの、幸せ者。 ただこういう生徒からも教師からも信頼の厚いクラスの中心人物で、普通の善人の傍に居るのには殺人鬼としてはメリットしか無かった。 身近な人間は簡単に殺す訳にいかないからな。 この関係も高校を卒業までだ。 「…ちょっと睡眠不足なだけだから大丈夫だよ。」 「この間もそれで体育の時、ふらふらしていただろう?…心配だな。」 煩いな…殺すぞ。 「あれは、外が暑すぎて熱中症になりかけてただけだよ…って、その顔は信じてないな?」 「今日こそ、大人しく一緒に保健室行こうね?」 真剣に心配してるんだけど?という態度で滉大が此方を見てくる。 こうなると滉大は俺の言う事を聞いてくれない。 最悪恵まれたその体格で意図も容易くオレの事を担いででも保健室に運ぼうとしてくるだろう。 はぁ…と、今日何度目かの溜息を吐き、降参のポーズを見せる。 「分かった分かった、今日は僕が負けるよ。」 このオレに降参ポーズさせるなんて、マジで十年後にはテメェの心臓に鉛玉ぶち込んで、この世とおさらばしてもらうからな。
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