29人が本棚に入れています
本棚に追加
「あー!ない!」
突然、台所から母親の叫び声が聞こえてくる。
「どうしたの?」
「晩御飯、鍋にしようって思っとったんに、豆腐買ってくんの忘れとったわー。」
「豆腐ぐらい無くてもいいんじゃない?」
「アカンアカン。鍋に豆腐は必需品や!二葉、買ってきてくれんー?」
帰ってきて早々、パシリに使われる私とは一体。
内心そう思いながらも、することも特にない私は、近くのスーパーへ行くためにコートを羽織る。
「豆腐だけでいいの?」
「うん。後、なんか欲しいもんあったら適当に。ごめんやでー。」
「はーい。」
外へ出ると、まだ17時前だというのに既に薄暗い。
風も少し強めで、身震いしながら、徒歩で行ける近くのスーパーへと足を進めた。
.
最初のコメントを投稿しよう!