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真っ白い紙に、なぐり書きで文字が並べられていた。 それは、詩のような……。 所々、音符のようなものも書いてある。 ……歌詞? 「すみませーん。」 「……。」 「すみませーーん!!!」 「あ!はい!」 歌詞に見惚れて、男の人が呼んでいるのに反応が遅れてしまった。 「それ、僕のなんで返してもらえます?」 前を見ると、少し息を切らした細く背の高い男の人が立っていた。 一生懸命、この紙を追い掛けて来たのだろうか。 ギターを背負っているのを見て、やはりこの紙は歌詞なんだと確信した。 この男の人が作詞したのだろう。 「えーっと。返してもらえます?」 何も反応がない私に、困った顔でもう一度そう言った。 .
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