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「あ、すみません。……これ、あなたが?」
「……。」
私の問い掛けに、何も言わず困った顔のままポリポリと頭をかいた。
「聴かせてください!」
「それは、無理です。まだ途中なんで。」
「じゃ、じゃあ途中まででも!」
何をそんな必死にお願いしているのか。
自分でも初対面の人におかしな事を言ってるのは承知だ。
それでも、このなぐり書きの歌詞がまるで今の私を表しているかのようで。
私の背中を押してくれているようで。
お願いせずにはいられなかった。
「……んー。では、明日なら。帰って、もう少し修正しようと思っていたので。」
「ほんとですか!?」
「はい。では、同じ時間に、ここで。」
「わかりました!ありがとうございます!」
頭を深く下げると、紙を男性へ返す。
男性はそれを受け取ると、ぺこりとお辞儀をして、去っていった。
……明日、同じ時間に。
「あ、豆腐!」
我に返った私は、急ぎ足でスーパーへと向かった。
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