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ーー……いない。 ふとスマホを見ると、ちょうど17時を示していた。 約束の時間。 ……そうだよね。こんな見ず知らずのやつのためなんかに。 しかも年末だよ?誰だって忙しいに決まってる。 後5分。5分したら帰ろう。 はぁ。と凍りつきそうな手に息を吹きかける。 ……寒。 1分、1秒がとても長く感じる。 期待と、期待してはダメと半々の気持ちが行ったり来たりしては、自分を落ち着かせた。 ………… ……… …… 「……はぁ。」 17時10分。 5分したら帰ろうって決めていたはずが、もしかしたらって気持ちにこの時間になった。 「……そうだよね。何、期待してるんだろ。」 はぁ。 もう一度小さくため息を吐くと、帰ろうと1歩踏み出した。 ……聴きたかったなぁ。 「す、すみません!」 「っ!?」 突然聞こえた声にバッと振り返る。 そこには、昨日と同じ息を切らした男性が立っていた。 .
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