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「……ここは?」
やがて着いた先は、小さなスタジオ。
古びた感じだが、こんなスタジオが実家の近くにあるなんて知らなかった。
「いつも練習に使ってるスタジオです。いつもはバンド仲間と来るんですが。」
……バンド仲間。
どうやらロックバンドを組んでいるらしい。
歌ってくれるのだから、この男性がヴォーカルなのだろうか。
初めてのスタジオの雰囲気に、ドキドキが増していく。
中に入ると、受付のような所に、ニット帽を被った若いお兄さんが出迎えてくれた。
「年末ギリギリまで練習?精出すねー、明ー。」
「いや、練習じゃなくて。ちょっと30分程だけ貸してほしいんや。」
……明。
彼の名前だろう。
名前すら聞いてなかった私は、頭に刻み込むように名前を頭で反芻させた。
「……ほう。へぇ。女か?……こんばんはー、いらっしゃい。」
最後の言葉は私に向けられたものだ。
ニッコリ笑ってくれたお兄さんに、ぺこりと頭を下げた。
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