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はぁ。 また自然と溢れるため息。 ……帰ろう。ここにいたって何もない。 ツリーから目を逸らし、振り返った時だ。 嫌でも目に入ってしまう。 ずっとずっと一緒にいた人だから。 ……大、ちゃん? 大ちゃん。それは10日前に別れたばかりの、彼。 隣には、可愛らしい女の子を連れている。 見慣れた大好きな笑顔は、その子に向けられていて。 それを見た瞬間、私は全てを悟った。 「あぁ……なんだ。他好きだったんじゃん。」 最初っから、私が何をしようが意味なかった。 感じてた違和感も、素っ気なさも、全てそれなら説明がつく。 ……なんだ。そっか。 やっぱり、涙は出なかった。 .
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