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 最高峰の武力衝突に直面し、 ロクセルンは勝利よりも戦闘自体に意義を見出し始めた。 「決着をつけるには絶好の場所じゃねぇか。  傷ついても傷ついても回復するんだ。先に体力の尽きた方が負ける」 レオドーネは半歩退き、覇気に抗おうと踏ん張る。 押し潰された草の上には、覚悟の足跡がくっきりと残った。 「……後悔するなよ」  死闘の火蓋が切られた。ロクセルンは魔法を意のままに操り、 レオドーネは泥臭く剣を振るう。 互いにダメージを負う度、刹那の回復を繰り返した。 組織に亀裂が入り次第、間を置かずに修復が始まる。 実質的に攻撃が意味を為さなくなった。 二人とも回復経験があり、神気への免疫が付いているため、 治癒速度は永続的に高まっていく。 人並外れた力が瞬時に蓄えられ、攻撃のテンポも段違いに速くなる。 その中で二人の戦い方には差異があった。 防御を捨て果敢に攻めるロクセルンに対し、 レオドーネはなるべく攻撃を躱すように努めていた。 「なぜひたすらに避ける? 傷を負えば負うほど強くなると言うのに」 驕り高ぶるロクセルンと対照的に、きつく歯を食いしばるレオドーネ。 しかし、逆境を乗り越える気構えが彼にはまだ尚あった。 それは忘れがたき幼少期の記憶、 すなわち、長老による超再生領域についての教えに基づいていた。
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