19人が本棚に入れています
本棚に追加
3
「はぁ…」
『憲二どうした?深いため息だな?』
「ん…マスター…前に話したでしょう?俺の好きな人の事」
『ああ、死んだ相手が忘れられない女々しい奴のことか?』
「マスター、言い方…間違ってないけど。その亡くなったの俺の親友だったんだ…順也っていうんだけどさ…まだ忘れられないみたいで…無理だから諦めろって言われた…」
『そうすればいいだろ?』
「できるならとっくにやってたよ…でも今回は流石に堪えた」
『慎の事は?』
「慎さんは…俺を愛してくれてる…」
『慎とは古い付き合いだが、マジなのはお前が初めてだ』
「そっか…俺も慎さんの事は好きだよ。でも寛人さんのとは違うんだ…」
『慎はいいやつだぞ?そんな女々しいヤツは忘れて慎にしとけ』
【女々しくて悪かったな】
「寛人さん?なぜここに…」
「美山に連れてきて貰った。憲二、来い」
「はっ…離して下さい、あなたの事はもう…」
「俺の事は…もう…好きじゃない…か?」
カランカラン
『おぉ、役者が揃ったな…』
「よ、マスター、憲二…お前誰だ?憲二から離れろ」
「慎さん…いいんです。話してるだけだから」
「ああ、あんたか。死んだ恋人が忘れられないんだろ?憲二は俺が幸せにするから引っ込んでろ」
「ふ…悪いが憲二は俺のだ。攫ってくよ」
「寛人さん…何言って…」
いつのまにか俺は寛人さんの腕の中にいた。
「ごめん憲二…辛い思いさせたよな…でも俺…お前を誰にも渡したくない、離したくないんだ。もしお前が他のヤツを好きになったんなら、今度は俺が追うから」
「うぅ…寛人さん…本当に?」
「あーあ、やってらんね。マスター強いのちょうだい」
「慎さん…ごめん…本当に…」
慎さんの大きな手が俺の頭に乗る。
「いいんだ…お前と過ごした時間は忘れない。おいあんた、また憲二を泣かしたら容赦しねぇぞ」
「世話になったそうだな…心配するな、ベッド以外では泣かせない」
「ちょっと、寛人さんやめて!」
最初のコメントを投稿しよう!