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「どうやら、海賊がいるみたいだな。ウゼ~時代劇を観ているみたいだぜ。かったるい時代にタイムスリップってやつか……ダチがさらわれたって言ってるけれども……」
後ろから煤野沢が歩いてくる。
金髪に近い茶髪のとんがり頭だ。
耳と口にピアスがついている。
俺は極力目を合わせないようにして、「そうッスね」と小さく相槌を打った。
「そんなに嫌がんなよなあ。俺は気が向いたことしかしないんだぜ。気が向かないことはスルーするだけだぜ。俺は今は寝ているから、後よろしくな。何かあったら起こしてくれよ」
煤野沢は確か情に弱いっていわれているんだ。
案外いい奴なのかも知れないが、俺の中では危ない奴の中でダントツ一位だ。大広間へ戻る奴の後ろ姿は、よれよれの学ランのせいで何故か疲れているように見えた。
「風ノ助くん。お城の裏の蔵が壊れたって。今燃えているそうよ」
今度は立夏ちゃんが廊下へ歩いて来た。
良かった立夏ちゃんは無事だ。
いつ見ても可愛いんだけど呑気な人なんだな。
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