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「別に今時、30過ぎたって、平気じゃん?嶋田ちゃん、33? 34?」
「33。男の人はいいけどさ。嶋田ちゃん、ずっと心配されてたよ。あんな風に憐れがられるの、キツい」
嶋田ちゃんは、去年位、教頭にお見合いを持って来られて、それすら先方に断られたという変な噂まであった。
「ははは。なに?憐れんで欲しくない?」
「ないね」
ミルクティーは甘い。
佐野とのこういう、くだらない会話も微糖。
「30過ぎて結婚出来てなくても、受験に落ちても、憐れんで欲しくない」
結婚よりも、私達に迫る問題は高校入試だった。
佐野は、この学区一番の進学校に行くだろう。私は、そんなに頭が良くなくって同じ高校にはいけない。学力レベルでは学区二番手の公立か、私立2校のどちらか。
「ははは。じゃ、みやっちが落ちても知らない振りしてスルーだな」
「うん。そうして。ひっそり滑り止めに行くから」
「ははは。ひっそりな。俺が落ちても、じゃあ、ひっそりスルーで」
「佐野は落ちないよ。賢いもん」
佐野は賢い。
しっかりしてる。
きっと大きく人生の目標から外れることのない人だ。
合唱コンクールで突然くしゃみが出たり、体育祭のクラス対抗リレーでコケる私とは、出来が違う。
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