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飲みかけのミルクティーを持ったまま、ベンチから立ち上がった。
「30ね。約束」
「早ぇな、30か」
自分で言っておいて、ビビっている。
歩き出す佐野の隣に並んで、ちらっと顔を見ても、この同級生がどんなつもりでこれを言い出したのか伺い知れない。
「2倍だね。今の2倍先だよ」
15歳の私達が2倍大きくなったら。
「ああ。そう言うと、まぁ、結構先な気がする。じゃ、30な」
「うん。なんか安心した。憐れみ防止作戦が出来て」
「お互い、フリーだったら、宜しくね」
「うん」
ふらふらと、ちょっとだけの寄り道を終えて、信号機で立ち止まる。
「お茶、ありがとう」
手に持ったミルクティーを揺らした。
「どーいたしまして。遅れたけど、誕生日、オメデトな。じゃね」
「うん、また明日」
軽くパッと手を振って、何でもないように信号を渡って、帰路についた。
あの時、本当は、凄く心臓がドキドキしてた。
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