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「ガキの子守りっつーか、おままごとに付き合ってくれてるんだよ。」 「そんなこと」 そんなこと、あるだろうか。 だって俺が知ってるぶんちゃんは、誠実で、嘘なんかつけなくて、 「あはは。ごめんごめん2人がそんな顔する必要ないよ。いーのいーの、わかってて俺も一緒にいてもらってんだから。俺ばっか好きなんだ。あ、ほらそんなこと話してる間に着いちゃった。」 小高い丘の上から見えたのは、自分の力ではどうすることもできないものがこの世界にはあるのだと思い知らされるような、圧倒的な大自然だった。 「すげー……。」 「すげーな……。」 「うん……。」 わーとかきゃーとか声を上げるのも忘れて息を呑むイツキの横顔に俺は見惚れる。 そうして3人で立ち尽くしていると、しばらくして大袈裟に息を切らせてぶんちゃんがやってきた。 「文司。」 「あーーやっと着いた。おぉ、凄いな、すげー景色。」 「来ないんじゃなかったの?」 「そのつもりだったけど、涼太、ここで写真撮るって張り切ってただろ。」 そう言ってぶんちゃんはカバンの中から立派な一眼レフを取り出した。 「でかっ!」 リョウさんが笑う。 「そんな本気のやつじゃなくていいんだよ、スマホとかで。」 「え、そうなの?」 「そーだよ…っあははっ、文司……っ、だめだウケる。」 「はいはい、いいからほらそこ並べ。撮ってやるから。」 「はぁい。」 いい返事をしたリョウさんの表情は今日1番の笑顔だった。この人をこんな笑顔にするぶんちゃんが、おままごとなんて本当に思ってるのか? 「ほら、コウも笑って。」 ぶんちゃんの声にはっとして、レンズを見つめる。 リョウさん、「俺ばっかり好き」なんて。ほんとにそうなのかな。
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