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ぐずぐずと泣き続けるイツキをバスタオルで拭いてやって、服を着せ、リビングまで手を引いて歩き、ソファに座らせる。ドライヤーの風を浴びせても、イツキはぼんやりしてされるがままだ。 電子レンジで牛乳をあたため、表面にできた薄い膜をとる。カップを渡すと、イツキは両手で抱えるようにして一口こくりと飲んだ。 「落ち着いた?」 一旦ひっこんでいた涙がまたじわりと瞳に滲む。 「嘘つき。」 「嘘?」 「チサちゃんと、付き合ってないって言ったのに。」 「チサ?嘘じゃねぇよ。」 「だって……っ、傘……っ、一緒に入ってた……っ」 「一緒に……って、イツキやっぱり学校の方まで来てくれてたのか?ごめん俺、」 「めちゃくちゃ楽しそうだった……2人で、……っ、」 「ちがうよ、」 「手、繋いでた。」 「は??繋いでねぇよ、あ、あれかな、車きて」 「なんもないって言ったじゃん。」 「なんもねぇよ。ねぇ、イツキ、聞いて、」 「ばか。俺の方が、ずっと好きだったのに。手、とか触らせてんじゃねぇよ。ぜんぶ俺のなのに。ばか、はげ……」 ぼろぼろと涙を零すイツキの手からカップを受け取る。 熱を持った手をそのままそっと引き寄せ、たまらず抱きしめる。 もう泣かせないって、決めたのに。
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