奔逸

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Kさんと随分と前に話したことを思い出した。  友達に、会わせたい人がいると居酒屋に呼ばれた。歳がだいぶ離れているだろうこの人に何故私を会わせたかったのか、ずっと考えていた。  右斜め前に座るこの人は、口数が多く、自身の言葉に迷いがなかった。 私はこの時感じた違和感を、全て無視していた。  ついさっきまで周りと同じようにありきたりな話をしていたのに、私たちは二人きりになった瞬間、喧嘩をした。怒鳴ることも殴ることない丁寧な喧嘩をした。心の底から嫌われて、私も貴方を心の底から嫌った。何故かあの時から、私には "Jesse"というあだ名がついた。  また二人が出会うなら、同じような出会い方をしたい。あの出会いを一から繰り返したい、とKさんと話した事を思い出した。  ヘラヘラするKさんを前に、ここからまた泥沼な出会いが始まる、そんな予感にうんざりした。繰り返したいと願っていたあの綺麗な時間が始まる、ただ心地良かった。
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