奔逸

8/11
前へ
/11ページ
次へ
 目が覚めたら辺りは明るくて雀が鳴いていた。昨夜買ったばかりのタバコがニ本だけ残っていて、携帯の充電は切れていた。  私の周りからはタバコと携帯の充電以外に、何も消えていなかった。勿論、増えてもいない。  それなのに、"何か"が満たされていた。今までに感じことのない満足感に満ち溢れていた。そんな自分が馬鹿みたいだった。  あの日の朝方、突然消えた私を必死に探したらしい。何度も電話を掛けたと言っていた。確かに不在着信が残っていた。私が思っているよりKさんは優しかった。そうやって私はまた騙された。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加