第一章 共通思考。あるいはテレパス

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 そう言うと江藤は自分のモノを取り出し、いれようと体重をかけてきた。  生温かく弾力のある感触が押し付けられ、身が強張る――海は拳を握りしめると、ありったけの力を出そうと息を止めた。  その時だった。 「海っ!!」  声が聞こえたかと思うと、不意に身体を覆っていた重みが離れ、部屋に鈍い打撃音が響いた。  何が起こったのか解からなくて、海は数瞬の間、天井を見上げたままでいた――が、重い身体を起こしあたりを見回す。  ぼんやりとした視界の先で見たのは、江藤の身体にまたがってボコボコに殴りかかっている男の姿だった……。  蛍光灯に照らされた男の髪は、金褐色に輝いてみえた。
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