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江藤に殴りかかるその姿は、さながら獲物に襲いかかる獰猛な豹のようであった。
「……りく……」
海は重い身体を起こして、その背中にすがりついた。
だが陸は、海の存在に気付きもせず、怒りを全身にみなぎらせて江藤を容赦なく殴りつけていた。
「てめっ……! よくも海を! ぶっ殺してやる!!」
「やめろ……陸……」
江藤はすでに血まみれになっている。
「やめろ陸っ……もうやめろっ……死なす気か……!」
海は陸の腕にぎゅうと抱きついた。
はっとすると、陸はとっさに海を抱き寄せた。
「だって……おまえ……」
きつく抱きしめる。
「こんなにまでされて……」
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