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息が出来なくなるほどの、強い力だった。
「ヤられちまったのかよ……海……」
「……バカ……言うな……」
海は喘ぐように笑った。
「すんででおまえが飛び込んで来たんだよ……」
陸は抱きしめる力を弱めて、海の顔をのぞきこんだ。
「ほんと……か?」
「ほんとだよ……」
「……よかった……」
陸は心から安心したようにつぶやいた。
「よかった……何もなくて……」
今にも泣きそうなその声に、何故か海の方が胸苦しくなってしまった。
もう大丈夫だ……とその頭を優しく撫でてやる。
「やっぱりな……」
そこへ二人の背後から、か細い声が聞こえてきた。
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