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パイロットとなった者の多くは最前線へ送られ、その大半は戦死する。だが、二十八歳まで生き残りかつ目覚ましい戦果を上げたものは引退を許され、火星首都マーズシティでの生活を許されることになる。
アカデミーの教官を勤める私もその一人だ。戦友の何人かには、研究職へと転身したものもいる。
――更にその内の何人かは、パートナーを見付け生殖行為を行っている。パートナーを得ることも、そのパートナーと生殖行為をすることも、優秀な元パイロット達に与えられた権利の一つだ。人間が生物である事を忘れぬ為の、神聖な行為なのだ。
……残念ながら私はまだパートナーに恵まれていないので、やったことはないのだが。
一方、二十歳までにアカデミーを卒業出来なかった者達の末路は悲惨だ。
彼らは「適正なし」と判断され、自由意志を剥奪された上で、ただの生態演算ユニットとして余生を送ることになる。人間の尊厳を完全に奪われ、ただのパーツとして扱われるのだ。
だから、クラスから卒業者が出ると……残された者達は嫉妬と羨望、焦燥感と無力感に塗れた視線を送ってしまう。「自分はまだか」「なんであいつが」と。
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