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違う遺伝子グループから生まれた者の卒業ならば、まだ諦めは付くのだろう。だが、中には同じ遺伝子を持ち同じ教育を受けてきたのに、能力に決定的な差が出てしまう子供もいる。
そういったケースでは、悔しさも数倍だ。
ここまで言えば、私がAA19EEを「稀有」と表現したことの意味も分かってもらえるだろう。
子供達の頭の中にあるのは、「誰よりも早く卒業したい」という気持ちだけだ。他人の卒業を祝福する余裕などない。
――にもかかわらず、AA19EEは卒業したクラスメイトを心から祝福しているのだ。今までに卒業者が出た時も、彼女はやはり「おめでとう」と笑顔で送り出していた。なんでも、前任の教官の時からそうだったという。
何故、そんなことが出来るのか?
AA19EE達のクラスは既に十八歳。自由意志の剥奪まで、あと二年しか無いのに――。
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