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「――あっ」
我知らず声が出た。それほど私にとっては意外で――あるいは自然と考えないようにしていた、彼女を救う方法に気付いてしまったのだ。
私はまだ、パートナーを選ぶ権利を行使していない。生殖機能が働いている内は、男女問わずこの権利が消滅することはない。
つまり、AA19EEをパートナーに指名することも十分に可能なのだ。
だが――教官と生徒として十六歳の時から接してきた彼女をパートナーに指名するという行為は、今の世の倫理に照らし合わせても少々問題があった。
私は、教官という立場を利用して若い娘をパートナーにした好色家と、後ろ指さされるかも知れない。
AA19EEは、自分が助かる為に教官をたらしこんだ売女と呼ばれてしまうかも知れない。
そして何より、彼女が首を縦に振ってくれるとは限らないのだ。
もし彼女に断られたら……お互いにしこりを残したまま、永遠の別れを迎えることになる。
でも、それでも――。
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