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雫も宙に舞い上がって行く
「賽の河原で石を積むのは、親に会いたくて
親の為に積んでるんじゃ無いのか?」
途中でピタリと留まり浮きながら
雫は言い放った
「愚か者め!
我らはココを、怨み浜と呼ぶ
親や大人を恨みながら積むのだ
みんなはそれが唯一の喜びなのだ
歌いながら積んでいる、恨み呪いながらな!」
雫は笑いながら再び舞い上がって行った
「怨み浜.....」
暫くすると足が重くなって来た
「足が石になってる!」
俺の体は徐々に石になって行く
「ウグッ!痛てぇクソッ!」
浜辺で子供達が石を積みながら歌って
いるのが聞こえて来た
この島、子の島だけの島
大人は誰も入れはせぬ
一度入れば出れはせぬ
新月、満月、月雫
石神様などは、おらなんだ
大人はみんな嘘をつき、二度と信じねえ
親を恨んでひとつ積み
村人憎んでふたつ積み
大人を呪いみっつ積み
この島出た者誰も居ず
紅い石は時止めて
ずっと子供のままでいる
黒い石は島守る為の〜も~の〜
「きゃははは」
俺はその童歌を聞きながら痛みに耐えていた
「すまない、俺が無理にでも止めていれば
本当にごめん蓮..竜也...彩香....美紀...すまな....い」
潤の体は黒い石が全身を包み込んでいった
子供達の童歌を聞きながら
ガラガラと音を立て崩れていった
子供達は童歌を歌いながら石を積んでいる
満月の夜だった......
完
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