魔石

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当日の朝、潤は車で蓮と竜也を迎えに行った 「潤早かったじゃん」 「まあな、時間は守るもんじゃね 俺のポリシーってやつ」 蓮達は車に乗り込んだ 「プァ〜車の中除菌の匂い満載、窓開けろや 病院かこの車はよぉ 潤は助手席で大人しく座れよな」 「潤ちょっとは、バイ菌君と仲良くなれや 体の中にも菌はいてるんや 潤の潔癖症は中途半端やねん ええ加減にせえや 鼻曲がるわクッサ〜」 「ちっ!偉っそうに、あいよ」 蓮に運転を代わり現地へと出発した カーナビをセットしているので間違える心配は 無い 蓮はバックミラーを見て 「竜也もう食ってんじゃん!」 「朝飯まだやってん寝坊したエヘッ」 助手席から振り返り潤が呆れ顔で言う 「竜也早く寝ろって言ったじゃん」 「興奮して寝られへんかったんや」 「お前はガキか ば〜か」 「何とでも言え 今食うのに忙しいねんア〜ホ」 大分走って海が見えて来た 「みんな海や ええな~」 「それな、海は最高じゃね」 「みんな遂に来たぜ〜」 「着いたら飯やな」 「竜也は食い物の事しか頭にねぇのかよ」 「そんな事ないわい、女子も好きやでぇ」 「竜也はマジ、ウケ〜」 「それな!」 「何笑ろてんねん、俺おかしい事言うたか?」 そうこうしてる間に民宿に着き 蓮は駐車場に車を入れた そこは古い感じの小さな民宿だった 「げっ!ココに泊まるん?潤 除菌は勘弁してや」 「分かったって!うっせぇなぁ 仕方ねぇじゃん 安いから良しとすっかな」 「ふう疲れた~文句言ってねぇで入ろうぜ」 入口を入るとお婆さんが立っていた 「いらっしゃいまし〜お待ちしてただよ 遠い所から さぞ疲れたじゃろ?どうぞどうぞ」 「お世話になります」 俺は丁寧に挨拶をした 部屋数は10部屋位ある様だ 2皆の部屋に案内されて皆驚く 8畳程の狭い部屋だ 窓際に小さなテーブルと椅子がある 目の前には美しい海が見える 昭和の様なレトロ感満載である お婆さんはお茶菓子とお茶を入ると改めて挨拶 した 「トキワ荘にようこそおいでくださった オラは米子と言いますじゃ 風呂は1皆の奥にありますでいつでも入って いいですじゃ 食事は何時にするかの?」 「風呂上がったら、直ぐに食いてえなぁ」 「それな、そうして下さい」 「分かっただよ 1皆の食堂で用意してますで 部屋番号のテーブルに来て下され 酒や飲み物は販売機が、食堂と玄関前にあるでの いつでも買うて下され 魚釣りで来なすったんか? 最近、賽の河原に行く若者が多いんじゃわ 地元民は誰も行かんのに、いつかバチ当たるだで! アレ、長話してしもたのすまねえだ ごゆっくりどうぞ」 米子は丸顔で、小さくぽっちゃりした体を よっこらしょと立ち上がり部屋を出て行った 「米子婆さんマジ年寄りだけど大丈夫か?」 「80歳位やろか?一人でやってはるんかな?」 「みんな汚さねぇ様に、気つけようぜ」 「蓮ええ事言うなぁ、たまに」 「たまには余計だろうが!」 「お前らじゃれてんじゃねぇ 先ずは風呂だ 1階に降りるか」 「ば〜か」 「ア〜ホ」 3人は疲れた体を風呂でゆっくり浸かりながら 「婆ちゃん賽の河原行く奴らを めっちゃ怒ってたやん」 「どうするよ?」 「ボート借りて、写真を撮りに来たとでも言わんと怒られそうやなあ」 「それな!嘘つきたくねぇけどよ」 「その為に来たんだしな」 作戦を練って 長湯していた 風呂から上がり汗を拭きながら 「暑っ〜浸かり過ぎたビール呑みてぇ」 「金持って来てねぇわ、部屋に戻ろうぜ」 「小銭は持ってる来てるでぇ 部屋に戻るんジャマいやん」 「竜也〜気が効くじゃん」 食堂に行き販売機で ビールを買うとみんなは いち早くテーブルに着き、蓮は一気に飲み干した 「ふぅ〜美味ぇ」 「風呂上がりは やっぱコレやな」 「言えてる美味ぇ」 食堂を見ると数人の客が食べていた 「俺らの他に客がいてるやん」 「竜也の好きな女子もいるじゃん」 「蓮に言われたないわ」 そこに米子が料理を運んで来た 「お待ちどう様、沢山食べてくれな カウンターの味噌汁も飯も勝手にオカワリしての ごゆっくりどうぞ」 そう言うと米子は他のテーブルに行った 「マジ スゲェじゃん」 「メッチャ美味そうやん」 「スゲェ豪華な舟盛り! それに天ぷらやこんなにいい料理 米子婆さん値段間違えてねぇだろうな」 「いいじゃん食おうぜ、美味ぇ」 「とれとれピチピチの刺身は、やっぱ最高やな」 「うん美味ぇ!海の近くの住民は毎日 こんな新鮮な魚を食えんだな」 3人はたらふく食べ大満足していた そこに米子が来た 「刺し身のお代わりどうですかの?」 「美味しかったです、お腹いっぱいです」 「ご馳走様でした 米子婆ちゃん」 「そりゃ良かった後は布団敷くでの」 「米子婆さんは お一人で民宿してるんですか?」 「アハハとんでもねぇ一人で出来んて わしは87歳のババアだでぇ 息子夫婦と甥っ子と姪っ子がおるでの 刺身は今朝、息子が捕った物ですじゃ 息子は漁師だで」 「そうですか、道理で刺身が美味い訳だ 米子婆さんは87歳ですか?お元気ですね」 「ほんまやなぁ、もっと若いと思てたわ」 「嫌だよ若いなんぞ、からかうでねえだよ」 「米子婆ちゃん マジ優しくて可愛いって」 「ありがとうな、もう勘弁してくれハハハ」 丸顔の頬がテカテカした米子婆さんは 嬉しそうに笑っていた
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