16人が本棚に入れています
本棚に追加
「他にもお客さんいたんですね」
「あぁ男さんの2人は釣り客での
何度も見えなさるお馴染みさんですじゃ
女子さん《おなごさん》達2人は東京から
来なすっただよ
何でもトロロがモアイとか言うての
わしにはわからんわな」
不思議な言葉を残し米子は行ってしまった
「トロロ?モアイ?」
「何の事っちゃ?」
「あの女子に聞いてみようぜ」
「蓮 待てや俺も行くて」
「蓮、竜也しつこくするんじゃねえぞ」
「へいへい分かってるって」
二人は離れたテーブルに居る女子に話かけた
「ウッス、東京から来たんだって?
俺、佐伯 蓮コイツは加瀬竜也
俺らも東京から来たんだ」
突然話しかけられた女子は、驚いた顔をしている
「ど、どうも」
「聞きたいんやけどトロロとモアイって何や?」
「ハア?」
「米子婆ちゃんが言うてたんやけど」
「あぁ嫌だ〜トロロじゃないわレトロよ
それにエモいって言ったのよ」
「なるほど〜なんか変やと思たわ」
「腹ごなしに今から浜辺に散歩行かねぇか?」
女子は悩んでいたが、面白いそうな人だと思って
行く事にした
「良かった 名前まだ聞いてなかったやん」
「私は美紀、荻野美紀この子は葉山彩香」
美紀はハキハキしたショートヘアーで茶髪
可愛い子だ
彩香は長い綺麗な髪を左側にまとめて
三つ編みにしている大人しそうで可愛い子だ
大学1年生でレトロな宿や店等を見つけては
写真に収めるのが 今の趣味の様だ
「美紀ちゃんと彩香ちゃんかよろしくな
あそこにいてる細〜いのが真木田 潤や
浜辺でビール呑むか?」
「うん呑みたい」
「任せとき買うて行くわな」
「竜也さんって関西?」
「美紀ちゃんよう分かったな」
「コテコテで誰でも 分かるだろうがよ」
「そやろか?」
竜也は誰にでも直ぐに 溶け込む魅力がある様だ
二人が美紀達と話している内に
俺は器を取りに来た米子婆さんに聞いていた
「ボート借りたいんですがお幾らですか?」
「船舶免許証は持ってるんかの?」
「勿論です」
「エンジン付きの船は14800円ですが
古いもんだで10000円でいいだよ
整備はちゃんとやってますでの」
「じゃあ 明日お願いします」
「分かりましただ」
米子はお盆で空の食器を運んで行った
「竜也、蓮、いい加減にしろよ
いつまで女子と話してるんだ」
「潤すまねぇ、こちら美紀ちゃんと彩香ちゃん
一緒に散歩に行こうって誘ったんだ」
「潤、竜也 、蓮って呼んでいい?
ちやんはやめてくれない、子供扱いっぽいもん
彩香と美紀でいいよ」
「え、あぁいいね〜よろしく真木田 潤です」
「よろしくね 私が美紀この子が彩香よ
彩香はお嬢様で慣れるまで時間が掛かるの
無口だけど気にしないでね」
「やめてよ美紀、お嬢様だなんて嘘だからね」
「へぇお嬢様スゲ〜俺、初体験かも」
「そやろなぁ、いつもキンキラキンのネエちゃん
しか知らんもんな」
「うっせえ、お前には負けるわ!」
「なんでやねん、俺の方がまだマシやちゅうねん」
美紀と彩香はクスッと笑った
「本当に仲いいのね、漫才見てるみたい」
「いつもこの調子で、笑わせてくれるんだ
こいつらは」
「素敵なお友達でいいじゃん、楽しいそうね」
「俺ら3人マブだからよ、なぁ竜也、潤」
「そやでぇ、うるさくてごめんな」
「お前らいつもの事じゃん、みんな早く浜に
行こうぜ」
5人は浴衣に下駄を履き道路を渡りすぐ前にある
浜辺に行った
少し先に明るい街が見える
ホテルや店だろう
トキワ荘は街から離れて古いので安いのだろう
その分静かで浜辺には5人しかいない
「やったね!プライベートビーチじゃん」
「ほんまやなビール呑むか?」
竜也はみんなに缶ビールを手渡した
「夜の海もいいじゃん、星が綺麗じゃね」
「本当に綺麗ねぇ 彩香来て良かったじゃん」
「うん、本当に綺麗ね
星がこんなに沢山見えるのね」
波は静かで空には満天の星空が美しい
月も都会と違う様に見える
「あ!今あの辺でなんか光ったで!」
「えぇ!何処?」
竜也が真っ暗な沖の方に指を指した
みんなが暫く見ていたが何も見えない
「何もねぇじゃんか」
「ほんまに光ったて信じて〜や
なぁ〜なぁ〜て」
「どんな光?」
「なんかパッととして、赤い様な白い様な」
「流れ星じゃね?」
「上手く説明出来んけど、もっと低かった
絶対あれは星違うて」
「酔ったんじゃねぇのか?」
「一口呑んだだけで 酔えるか〜い」
彩香はクスッと笑った
「竜也って本当に面白い方ね」
「そ、そう?褒めてくれて嬉しいわ
彩香もう1本ビール呑む?」
「ありがとう竜也、まだあるから大丈夫よ」
「あれ?彩香話せるんだね シャイなのに
初めてじゃない?」
「なんか話易くて 緊張しないの」
「ふ~ん、そうなんだ 彩香良かったね」
「俺ら明日は 賽の河原に行くんだ」
「SNSでバズってるアレ?私も見に行きたいな」
「やめてよ 私怖いわ」
「見に行くだけじゃん 彩香付き合ってよぉ
お願〜い彩香〜」
「もう〜美紀って、本当に こんなの好きだね」
「行こうぜ彩香、俺達もいるし怖くないって
島の中はどうなってるんだか気にならね?」
「気になるよねぇ」
「それな!誰も行って無いらしいわ」
「絶対ボートからは降りねえからな
危険過ぎると思うし」
「へいへい 分かりましたぁ
潤はお堅いことで じゃあ明日の朝
朝飯食ったら一緒に行こうぜ」
みんなは部屋に戻り早目に寝る事にした
布団が3つ敷かれ 枕元に水が用意されていた
「さぁ寝よか 俺真ん中な」
「竜也もうビビってんのかよ ば〜か」
「俺は寂しがり屋さんやねんア〜ホ」
「お前らガキか?蓮、運転で疲れたろう?
早く寝ようぜ」
「流石に限界~おやすみ~潤、おやすみ〜ば〜か」
「おやすみ~潤、おやすみ〜ア〜ホ」
「おやすみ〜ばかとアホ」
部屋の電気を消し暫くするとみんな静かに
寝息を立てていた
最初のコメントを投稿しよう!