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「しゃぼん玉のステーキの作りかたを知ってるか? 僕は知らない。知っていたら教えてくれないだろうか」
黄色い屋根の上、仰向けで眠りながら、隣に座るRに問いかけた。焦げ臭い夜風が頬を撫でる。ひ弱な猫がひっかいたみたいな流れ星が流れた。
「はちみつを入れると美味しくなるらしいよ。でも、入れすぎると固くなるから注意しなきゃね」
「ガムシロップとかで代用できないのか?」
「わかんない。やってみれば?」
「面倒くさい」
「よくないよ。そういうの。何事もチャレンジだよ」
「昨日さ、満月の欠片を拾ったんだよ」
「嘘をつくならもっとマシな嘘つきなよ」
「それでつくった指輪が昨日渡した指輪なんだよ」
「石ころにしてはやたらと光ってるね」
「地球に落ちてきたときの熱がまだ残ってるだけだよ」
僕は起き上がり、屋根から飛び降りたが、すぐにふわりふわりと浮かび上がった。
「どんな気分?」Rが訊ねてくる。
「夢見心地」
「起きながら夢を見れるなんていいね」
「死んでるみたいに生きれる人間だからこそだよ」
「意味わかんない」
「僕も自分で言っておいてよくわかんない」
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