ラブ・バトルロワイヤル

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「バトルロワイヤルというと、生き残りをかけて戦うということでしょうか。僕は格闘技は苦手なんですが……」 「バトルだなんて、女性が圧倒的に不利じゃない。不公平よ」  眼鏡をかけた気弱そうな男性が不安を口にすると、先ほどのショートカットの女性も不満を明らかにする。  まだ何が何だか分からず混乱している人間も多かったが、この2人はどうやらここが生と死の狭間であると信じることにしたらしい。 「ご安心ください、皆様。殴り合いなどは一切ございません。皆様にご参加頂くのは、告白バトルでございます。 同性でも異性でも差し支えありません。 気になる方に告白して頂き、カップルが成立した場合は権利獲得となります」 「一番早く成立したカップルだけが生き返れるってこと?」 「いいえ、早い者勝ちではございません。カップル成立となった場合は、何組でも生き返ることが可能でございます。 ただし、生き返った後にお二人が別れた場合は、その時点で権利無効とさせて頂きます。告白のお相手は、どうぞ慎重にお選びくださいませ」  ショートカットの女性の質問にも、相変わらずラブは業務的な口調で淡々と答えている。   「慎重にと言うくらいなんだから、まさかいきなり見ず知らずの人間に告白しろってわけじゃないでしょうね」 「じっくり見定める時間が必要だとは存じますが、あいにく時間がございません。制限時間は、これより一時間とさせて頂きます」 「一時間ですって? ああもう!こうしてる時間が惜しいわね。そこのあなた、あなたに告白するわ」 「ええ!僕ですか?」  ショートカットの女性にいきなり指名され、眼鏡をかけた男性は驚きの余り素っ頓狂な声を出してしまう。 「そうよ。どうせ一度死んだんだから、生き返れるのならこの際誰でもいいわ。どう?」  いきなり死んだと言われたあげく、さらにはバトルロワイヤルに参加しろと言う。  自分が死んでしまったということは多くの人間は理解し始めてはいたが、様子見をする人間が多い中での女性の行動は皆を驚かせた。  他の人間も固唾をのんで眼鏡の男性の答えを待つ。
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