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ふと気がつくと、美波は何人かの男女と一緒に真っ暗なところにいた。暗闇ではあるが、不思議と周りにいる人の表情や外見などははっきりと見える。
美波の目の前には、片方の耳にハートの飾りがついたうさぎが2本足で立っていた。160センチの美波よりもやや低いぐらいの身長で、着ぐるみのキャラクターのような愛らしさがあるが、その表情はまるで感情が感じられず、どこか不気味だ。
「この度はご愁傷様でした。
皆様のご逝去を謹んでお悔やみ申し上げます」
突然うさぎが話し出したことに、美波を始めその場にいた人間に動揺が走った。
「俺死んだの? ここは天国ってこと?
どちらかというと、地獄?」
美波の近くにいたさわやかなイケメンも頭を抱えている。学ランを着ているところを見ると、セーラー服を着ている美波と同じくらいの年代なのだろう。
「ここは生と死の狭間でございます」
「何これ、ドッキリ? そんな着ぐるみ被っちゃって、なんなのよアンタは」
ややきつそうな雰囲気のショートカットの女性がうさぎに詰め寄ったが、うさぎはやはり表情ひとつ変えずに立っていた。
「申し遅れました。私は、皆様のバトルを見届けさせて頂くラブと申します」
「バトル?」
「本日ご逝去された方を対象に抽選させて頂いた結果、皆様がバトルロワイヤルに参加される権利を獲得されました。勝者のみ、もう一度人生をやり直すことが可能でございます」
怪しいうさぎ・ラブの発言を聞いた美波は、不安げな表情を浮かべる。
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