決戦の金曜日①

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決戦の金曜日①

いよいよ決戦の金曜日…! とにかく動きやすい格好で行かなくちゃ。 あれこれ考えて選んだ格好で玄関に向かったマサヨに 「ジョギングでも行くの?かあさん」と のんきなアズサの声がした。 「ジョギングじゃないわよ。」 そう言いながらふと姿見に映った自分を見ると ジャージの上下にウエストポーチにスニーカー… …マジでジョギングスタイルやな…(納得) いやいや、そんなことを言ってる場合か! 「決戦よ、決戦。行ってきまーす!」 なんだ、そりゃ…な顔の娘を置き去りにして マサヨは決戦の第一会場である スーパー「マルサイ」に向かった。 卵1パック99円を2パック!! バックヤードの出入口にはすでに無数の人だかり。 タイムセールの卵を載せたワゴンが出てくるのを 今か今かと待っている。 マサヨも負けずに巨体を武器に ぐいぐいと前に迫っていく。 「ちょっと押さないでよ、デブババア!!」 怒鳴ってきたのはタイムセールババアのキヨコだ。 毎回こいつとは小競り合いになるのだが、 マサヨは構わず巨体圧でジリジリと前のポジションを 取るべく詰めていく。 こんなババアに関わる時間など1秒もないのだ。 無言で迫るマサヨに恐怖を感じたのか、 キヨコが押し黙った。 そこに真っ白な卵たちを載せたワゴンが…!! 「タイムセールでーす!卵1パック99円!!」 わっと人々がワゴンに押し寄せる。 「卵、確保っ!!!」 奇声と共にマサヨもワゴンめがけて飛びかかった。
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