8人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
「あら、この子が今日から来てくれる子?
とってもベッピンさんねぇ~」
若い女性が穏やかな笑みを浮かべながら
近寄ってくる。
色白で細目の綺麗な人だ。
喋り方、雰囲気が全体的におっとりとしている。
ふと奥の方から視線を感知した。
首を傾けて確認してみると、
廊下の奥から黒髪のポニーテールがひょこっと
飛び出ているのが見えた。
「あらぁ? 椿ちゃんもこっち来なさい。
顔合わせしましょうよ~」
そう声を掛けられトボトボ歩いてきたのは、
高校生くらいの、これまた綺麗な子だった。
サラサラの黒髪につぶらな瞳。
椿ちゃんと呼ばれた子は、
警戒しているのか、表情が少しこわばっている。
ふと目が合った。
彼女は警戒心を解こうと人差し指を
口の両側にあてて、口角を上げて笑顔を作って見せた。
(少し顔のパーツが錆びついて動きが悪いせいだ。)
怪訝そうな顔をして、椿は片手に握っていた
スマホに目を落としてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!