あなたの名前

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 「あら、この子が今日から来てくれる子?  とってもベッピンさんねぇ~」  若い女性が穏やかな笑みを浮かべながら  近寄ってくる。  色白で細目の綺麗な人だ。   喋り方、雰囲気が全体的におっとりとしている。  ふと奥の方から視線を感知した。  首を傾けて確認してみると、  廊下の奥から黒髪のポニーテールがひょこっと  飛び出ているのが見えた。  「あらぁ? 椿(ツバキ)ちゃんもこっち来なさい。  顔合わせしましょうよ~」  そう声を掛けられトボトボ歩いてきたのは、  高校生くらいの、これまた綺麗な子だった。  サラサラの黒髪につぶらな瞳。  椿ちゃんと呼ばれた子は、  警戒しているのか、表情が少しこわばっている。  ふと目が合った。  彼女は警戒心を解こうと人差し指を  口の両側にあてて、口角を上げて笑顔を作って見せた。  (少し顔のパーツが錆びついて動きが悪いせいだ。)  怪訝そうな顔をして、椿は片手に握っていた  スマホに目を落としてしまった。
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