あなたの名前

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 「ん~、そうねぇ。  リンゴちゃんなんてどうかしら」  「リンゴ? それまたどうしてだ?」  「今さっき丁度アップルパイを焼いてたから!  …何か焦げ臭いわね。 ちょっと様子見てこなきゃ」  パタパタと緩い小走りで奥様は台所へと行ってしまった。  HR‐1156の背中を、ご主人がドンッと叩いた。  衝撃で視界機能が乱れる。   一生懸命視界の調節をしている彼女に哲はハキハキとした声で言う。    「それではリンゴちゃん。 我が家へようこそ!」  「リンゴ…ハイ、よろしくお願い致します」  いつか記憶が消えるアンドロイドにとって、  呼び名などはどうでも良い事だった。  彼女はその名前を付けるという行動に理解できずに首を傾げつつも、  呼ばれたときに反応できるよう、  自分の設定に名前を付け加えた。  リ ン ゴ…の3文字を。  
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