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きみが、今日、クリスマスイブの、夜に生まれてまだ……いや、もうかな? 三十歳ジャストになっていないからだ」
「……バレちゃいましたか」
「ばれちゃいましたね。因みにおれ、改めて言うと四十一歳。……引く?」
「いえ。とんでもない」花緒里は心底驚いた。とてもそうは見えなかったからだ。見た感じ、荒西は二十代でも通用するビジュアルだ。「年齢で引くなんて言ったらそれこそ失礼です。……っていうかあたしたちたったの十歳差じゃないですか。小さいですよ。うちの両親なんて二十歳離れてますから。父が年上で来年米寿ですよ」
「へぇ……。ところでやっぱイブ生まれだと、クリスマスプレゼントと誕生日プレゼントを一緒にされたりするの? ……あ、ちょっと片づけだけさせて。そしたらきみにドライヤーかけるから」
「えええ。そんな」
「誕生日なんだから」にっこりと王子様は微笑み、「こんな日にお姫様扱いしなければいつするんだい?」
案外、強引なところもあるんだな。でも、……悪くはない。全然ない。
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