#05. ため息ひとつで恋をした。【最終話】

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#05. ため息ひとつで恋をした。【最終話】

「はぁあ……最高でしたね……」  映画館を出てほっと花緒里は息を吐く。クリスマス本番、超絶人気ということもあってすごいひとだった。  せっかくなのでと、新宿を闊歩することにする……と荒西が、宝石店の前で足を止めた。「せっかくだから見て行こうよ。花緒里ちゃんの誕生日プレゼント」 「えっ……」  らぶらぶ恋人繋ぎをしていた花緒里は、「でも、……どうして。プレゼントならいっぱい貰ったよ? コンビニのおでんとか……ケーキとか、ドライヤーとか……」  すると荒西は身を屈めると花緒里の耳元でそっと、「きみの初めても貰ったんだったね」 「んもう。良治ったら」やさしく花緒里が荒西の胸を押し返すと、ははは、と荒西は笑った。「でも。ちゃんと。かたちに残るプレゼントを贈りたいと思ったんだ。一日遅れたけどバースデープレゼントをね。おれの好みで買ってもよかったんだけど……せっかくなら、きみの欲しいものがいいかな、と思って」 「で、でも、……なんでブルガリ……」 「えっおれの好きなブランドなんだけど。……駄目?」 「や、や、や、あの……うちの両親も好きだから知ってはいますが。……どえらい値段しますよね?」
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