#05. ため息ひとつで恋をした。【最終話】

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「ぼくを誰だとお思いですか」ふふん、と荒西は鼻を鳴らすと、「きみの、唯一無二の王子様、なんですよ? こういうときくらい格好つけさせてくださいな」  * * * 「ふわあぁああ……最高……もう、死んでもいい……」 「きみになにかあったらぼくが困るよ。……っていうかきみが死んだらぼくも死ぬ。だから、死なないで?」 「いきなり重いの来ましたね」 「ははは」このひとの扱いがだんだん見えてきた。花緒里は立ち止まると、思い切って……お店の前で、荒西に抱き着いてみる。  華奢に見える荒西ではあるが、改めて抱き着いてみると丸太のようだ。胴幅があり、身が太い。こんな男のからだに昨夜は組み敷かれていたのかと思うと、……また、あられもない淫らな想像をしてしまう。つい。 「良治。本当にありがとう。……わたし、一生大切にするよ……。『ママレ』読んでたからブレスレット貰うの、永遠の憧れだったんだ」  しかし、こちらはブルガリのブレスレットなので。下手したら新人の初任給の金額である。とはいえ、荒西は別のポイントが引っ掛かったらしい。
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