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プロローグ
突然
声が出なくなった
信じていたもの
当たり前にあったものを
失うとき
人は同時に
何かを無くすのかな
結婚を約束し
一緒に住んでた恋人が
消えた
結婚資金に貯めていた
お金と共に
貴金属や服
バックさえない
4畳半一間の部屋には
大型ゴミで拾ってきた
丸いちゃぶ台のみ
その上に
ただ一言「ごめん」の手紙だけが
彼のいた証
ショックというより
何が起こったのか
「なぜ?」
「どうして?」
途中から考えることも
あきらめて
そのまま
部屋で寝そべり
泣くわけでもなく
ただ
目を開けたまま
夜が明けるまで
そうしていた
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