2.平凛のクリスマスイヴ

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 「あ~、退屈だなぁ…」 独り言を言って寝転がった。 「今日はイヴかぁ…」 私にとっては今まで毎年、同じような退屈なイヴを繰り返すだけだったが、今年は意味が違う。  夕方になるとすっかり体調が戻っていた。夕食はダイニングに行って摂り、部屋に戻るとお風呂に入って汗を流して、少しテレビを見てからまた寝ることにした。すると…。 「コンコン…」 コネクティングドアの方だ。カチャリと音がし、ダンナ様が、 「メリークリスマス!」 と言って小さな細長い箱を持って入って来た。 「初めてのクリスマスプレゼントだな、平凛」  私の手のひらにその細長い箱を乗せたあと、軽くキスをした。 「(わたくし)もあるんですよ。お待ちになって」 と私はベッドの脇に用意していた紙袋から箱を取り出してダンナ様に 「メリー…クリスマス…」 と少し照れて言いながら渡した。ダンナ様は、 「開けてもいいか?平凛も開けてみろよ」 と言うので、「はい」と小さく言って、その細長い小さな箱を開けてみた。  中から出てきたものは、キラキラ光るプラチナの小さな鎖のチェーンネックレスだった。 「うわー、奇麗…。ダンナ様、ありがとうございます」 と私は素直に喜びを言葉にした。  私が生まれて初めてアクセサリーを手にした瞬間だった。 「お、電気カミソリじゃないか、欲しかったんだよな、コレ」 と言った後、 「どれ、平凛。オレが付けてやるよ」 と言い、付け方がわからずモタモタしている私からネックレスを取り、首に回して付けてくれた。 たったこれだけの小さな物なのに、首に付けると意外にズシリと感じた。(これがダンナ様の愛情なんだわ…)と私は思った。 「ところで、どうして電気カミソリなんだ?」 とダンナ様は聞いてきたので、私は、 「顔をくっつけた時に、チクチク痛いんです。(わたくし)はもっと長い時間、ダンナ様とくっついていとうございます」 「ウン…わかった。悪かったな。平凛」 「いいのでございますよ、ダンナ様」 二人は自然に抱き合い、自然に唇を重ねた…。
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