3.平凛の大晦日

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3.平凛の大晦日

 今日は大晦日。全員で屋敷の大掃除ということだったのだが、私はまだ病み上がりということで免除され自室にいた。  何気なく窓から外を見ていたら、ダンナ様の姿が目に入って来た。皆の嫌がりそうな溝掃除をしている。今日はももっちまで屋敷の色んな所を掃除しているので(そうだ、皆にお茶でも出してあげたら喜ぶかな?)と思い付き早速台所に下りて行った。  台所ではももっちがアイランドテーブルを磨いていたので、私は、 「今日は(わたくし)がお茶を入れますので…」 と言うとももっちは、 「とんでもないです。平凛様に火傷でもされたら、私が叱られてしまいます」 「いいのです。(わたくし)がやってみたいんです。ダンナ様のために…」 「あ…、なるほど。失礼いたしました、平凛様。お教えいたしましょう。先に覚えていることをやってみて下さい。」  とももっちがいうので、私は覚えていることを思い出し、お湯をコンロにかけた後、茶葉を湯呑に少しずつ入れていると、ももっちが、 「平凛様、それは間違いでございます…。茶葉は急須に入れて下さいませ」 「え?そうなのですか?(わたくし)が家でお茶を入れる時は、誰も間違いだと言ってくれませんでしたが…?」
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