4.平凛の初詣

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4.平凛の初詣

……その夜 「みんな揃ったかー?」 リビングでダンナ様はそう言ったが、全員で4人だったので数えるまでもなかった…。 「寒いから、防寒着を忘れるなよー?」 と付け加えてから全員でダンナ様の車に乗った。助手席は私だ。 「イエーィ!しゅっぱーつ!」 と優菜はノリノリだった。 「行先は塩屋崎の「潮江天満宮」な」 とダンナ様は言ったが、私にはどこだかわからない。ダンナ様は、 「優菜と一緒に初詣に行くのはこれが初めてだ」 ということだった。  私にはなんか一気に家族が増えたようで、少し緊張したけどすごく嬉しかった。 優菜が突然、 「私、平凛さんのこと「姉さん」って呼んでもいいかな?」 と言い出した。 「お兄ちゃんといずれ結婚するんだから、もういいよね?平凛さんの方が年下だけど…」 「いいんじゃないか?な、平凛?」 ダンナ様はあっさりと許可してしまったので私は、 「(わたくし)は問題ありません」 と言うしかなかった…。 「着いたぞ。オレ車置いて来るから、皆で降りてもらえるかな。20分ほどで戻るから」 と言ったけど、私はダンナ様とずっと一緒にいたかったので、 「(わたくし)はダンナ様と一緒に歩きとうございます」 とダンナ様に頼むと、ダンナ様は、 「ウン、ありがとう…。と言うことだ優菜、ももっちと中に入っててくれ」 「わかった。じゃ、後でね、姉さん」 と言いながら、手をひらひらと振って来たので、私も同じように返した。人から「姉さん」と言われるのは初めてなので、ちょっと照れ臭かった…。  私にとってはダンナ様と一緒にいる時間を少しでも多くしたいんだけど、ダンナ様はどう思ってるのかな…。 10分ほど走ったところにダンナ様は車を置き、それから二人で先ほどの天満宮まで引き返すことになったが、私はずっとダンナ様と腕を組み思い切りくっついて歩いたが、ダンナ様は全く嫌がりもしなかったので私はとても満足していた。夜道が暗いので、時々よろけたフリをして寄りかかって抱きついてみたけど、ダンナ様はちゃんと受け止めてもくれた。
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