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潮江天満宮の入り口にはやや小ぶりの鳥居があり、参道から社殿までの約100mの間には、両側に出店がズラリと並んでいる。
鳥居をくぐった辺りで、年が明けるまであと1~2分というところだった。
私は出店は海の街でも見たことはあったけど、これほどの数は初めてだったので、キョロキョロしていた。参拝に来た人たちの流れがかなり多い。私はずっとダンナ様と腕を組んでいた。
その時前から、一人の男が歩いてきて「あっ!」っと言った。
「やあ、 神宮寺さん、こんな所で奇遇だね。お父さんと初詣かい?」
私が一番会いたくない人に会ってしまった。チャラ男だった…。
「この方は父ではありません。ダンナ様です!」
「え!?何?援助交際じゃないの?」
(パン!!)…
私は生まれて初めて、人をビンタで叩いた。しかも思い切り…。思っていたよりも手のひらが痛く、ジンジンする…。
そこでダンナ様が、
「まあまあ落ち着け、平凛。オレは何とも思っちゃいないよ」
「だって…だって…。悔しいんですもの…」
私は悔しくて泣いた…。
「オレは岡野という者です。こう見えても独身だよ。そして平凛の婚約者でもある。平凛は世間知らずのお嬢さんだけれど、かと言って侮辱はしてほしくないな。オレは平凛の夫となる者として、全力で彼女を守るつもりだよ」
「し…失礼しました。さっきの言葉は取り消しますので…」
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