3人が本棚に入れています
本棚に追加
そう答えて奈美は、立ち上がってカウンターの中に入ると、ママの手伝いを始めた。
「いいなあ。ねえねえ、彼氏と?」
ルナが好奇心丸出しで尋ねた。
「ばかね。リエちゃんはお兄さんの命日で行くのよ。当然、一人よ。」
ママが怒ったように言うと、ルナは舌を出してテーブルを片付け始めた。それを見て奈美が笑った。
「今日はもう店じまいしましょう。リエちゃん、看板しまってくれる?」
「はい。」
奈美は言われるまま外に出て、看板のコンセントを抜いた。そのとき、奈美の肌が、こちらに向けられる視線を感じ取った。
奈美の目がその方向に動く。
路地の奥の方で、物陰に隠れる人影を捕らえる。
(見張り?)
疑惑を持ったまま奈美は、看板を店の中に入れた。
最初のコメントを投稿しよう!