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食堂の扉が壊れるのではないかというような音を轟かせて、君春が飛び込んできた。昨日と同じグレーのスウェット姿の君春は転がるように莉冬たちがいるテーブルへと走ってくる。
「ほら、これって「まほらばの部屋」に選ばれた証だろ!」
テーブルの上に置かれたのは、道端に転がっていそうな小石だった。莉冬の握りこぶしくらいある大きさの小石は特徴をあげるとすれば、自然界で造られたにしては真ん丸であるということ。
球体状のソレはテーブルの上を慣性に従って転がっていく。君塚の手が小石を受け止めて宙にかざした。
「うん、これは間違いなく「まほらばの部屋」の証だね」
「やっぱり!」
「君春よかったわね」
「うん。ありがと花美さん」
「いつ部屋に行くんだい?」
「んー……明日、かな」
「わかった。莉冬ちゃん、君春の準備を一緒に手伝ってくれるかい」
向けられた話に莉冬は目を白黒させる。莉冬を置いて進んでいった話はどうやら、先程の管理人の仕事の手伝いに繋がる話だったらしい。
それにしても――。
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