結局そう言う事

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結局そう言う事

納得いかない…!! 目の前のアルコールを睨み付ける真琴は苛々と爪を噛む。 あの憎き子供と対峙したのはつい先日の事だ。 子供と言うには面影を探さないと分からない程身体が作られ、これまた腹が立つ程見上げないといけない身長と言う成長を見せてくれてたが、ぼうっとした間の抜けた平凡面だけは変わっていなかった。 そしてこれも変わっていないのは『彼等』の関係性。 友人伝手や家族伝手で話は聞いていたが、本当に一緒に同居していたとは。 上手い具合に従兄弟が勤務する職場に桔平が就職してきたことを知り、それを利用し、色々と画策し引き離そうとしてもそれも無駄に終わってしまった。 結果真琴が欲していた関係を桔平はまんまと手にしていると言う事実だけだ。 東伊と新名から、守られて――――。 いやいやいやいや、 (おかしいでしょ…!!!) 何であんな普通の何の取柄も無いガキが誰からも一目置かれ、羨望や嫉妬の眼差しを独り占めするあの二人と一緒に居るのか。 (本当に納得いかない…!!!!) このモヤモヤの感情を消し去るくらいに納得できる説明をしてくれる人が居たら是非金を払ってでも聞かせて欲しい。 ぷりぷりと頬を膨らませ、ぐいっと流し込むアルコールも全然酔える気がしない真琴は赤い顔をしながらもおかわりを要求すれば、一緒に飲んでいた大学時代の友人達が苦笑いを見せた。 「何か荒れてんね」 「荒れたくもなるっつーの!!」 高校時代の東伊達曰く三馬鹿藤と呼ばれていた友人達は大学の進学を期に疎遠になってしまったが、今はこうして他に友人も出来ている。 小寺花。 ロングの真っ黒の髪がよく似合う女、と言うのが第一印象。 中々前の様に気が利く人間ではないがのほほんと無駄な事をしない、言わないのが楽と言うか、気を遣わなくていいと言うか。異性ではあるが、さばさばとしたその性格に妙な感情を抱かれる事も無く、終電が無くなり一緒にホテルへと一泊した事もあったがその時も何も起こる事無く朝を迎える事も出来た。 だから、と言う訳でもないがそれなりにアルコールの力もあったのだろう。 今迄話した事も無い東伊や新名、そして桔平の事をグチグチと小姑の如く話してしまった。 友人で特別、大好きだったのに、ぽっとでのガキに取られた綺麗な幼馴染。 あの二人に釣り合うのは自分くらいなのに、どうして普通のあんな男よりもないがしろにされるのだろうか。 うん、やっぱり納得いかな、 「えーそれってその子が好かれてるからでしょ」 「―――え?」 「だからぁ、真琴よりその子が好きだから、二人ともそっちに行ったんでしょ?」 「え、え…は、」 「天秤に掛ける価値も無いって思われたから縁も切られたって感じじゃない」 花も注文した酒を飲みつつ、ピーナッツの殻を指先で潰す。 「まぁ、私は真琴のそう言うナルシストで自己中で勘違いな感じが人間の腐ってる所が好きだからいいけど、あくまでも他人だから面白いってだけだしね」 「お、おま、おまえ、」 剛速球投手からストレート球を薄い胸板でキャッチした。 それくらいの衝撃に、呆ける暇も与えられないくらいの痛みは明らかに心臓部分から。 「え?あんた気付いてなかったの?嫌われなきゃそんな態度取られないでしょー。お咎めも無しで近づくなって言われるとか、よっぽどよ」 あははっと赤い口紅を塗った唇が豪快に笑う。 「まぁ、そうね。私も、あんたが彼女に嫌がらせしたら、殺す以外の全ての復讐企てるわね」 「…………」 「良かったわねぇ、今になってだけど気付けて。諦められる切っ掛けになったでしょ」 うふふっと首を竦める花を前に、無駄に力の入っていた真琴の肩がすとんと落ちる。 あの二人が桔平を構うのは、好きだから。 自分を突き放したのは、嫌いだから。 そんなシンプルな答え。 本当は嫌われるような事をしてしまった、と言うのが正しいのだろうが、それに気付かない真琴は信じられないとばかりに額を押さえ、テーブルに肘を付いた。 (えー…えー…えぇ?) や、納得いかないでしょ。 何処まで行っても真琴は真琴だ。 終 「え、てか、彼女…?」 「何?そう言うのにこだわりあるタイプなの?今時?」 「えー…か、のじょ、…」
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