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美術の授業のため、だらだらと教室移動をしている途中。
廊下で視線を交わした瞬間、相沢さんはハッとして走りだす。僕の前から逃げ去るように。
溜息が自然と漏れ、胸にチクりと痛みが刺す。
となりのクラスの相沢さんは、すごくかわいい人だ。校内で一番の美少女と評してもいい。特に友達としゃべっているときに浮かべる笑顔なんて、癒し効果があるんじゃないかと思っている。少なくとも僕の疲労は吹っ飛ぶ。
まさに女神のような相沢さんなのだが、僕はどうやら嫌われているらしい。いや、正確には避けられている。
いつからだったか相沢さんは僕と目があうたび、走りだして逃げてしまうのだ。理由はわからない。聞こうにも、相沢さんの足は速くて追いつけない。
「照れ隠しってやつだな」
傷心の僕の肩を叩いて慰めるのは、同じクラスの典隆。陽気なヤツで、テストで赤点をとっても笑い飛ばす楽観者だ。
小学校からの腐れ縁で、中学生になった現在もその縁はつづいている。
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