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2階に上がっても一番奥の僕の部屋以外から声が漏れている。
大方、上の二人の兄たちが誰か連れ込んでいるのだろう。
分かりきってはいたけれど、こんなことなら我慢してファミレスにでも寄ればよかった
今から外に出るのも面倒で足早に私室に入る。
僕が中学に上がる頃、父と母の会社が忙しくなり二人は会社の近くにあるマンションを買い引っ越した。
お祝い事なんかがある時はここに戻ってくることはあるけれど、基本的にこの家に住むのは僕たち兄弟のみとなった。
--午後7時--
コンコン、、
「誰?」
「ナナ、腹減った。」
一番上の兄がそう言いながら部屋に入ってくる。
もう、そんな時間だったか
昨日買い物したから冷蔵庫の中は十分にある。
何作ろう
「わかった。これから作るから、、
兄さん。頼むから服を着てよ。
いくらまだ夏だからって風邪h、、、ン」
ん、、、チュ
「、、、ねぇ。
確認だけど彼女たち帰ってから歯磨きした?」
「あ、、、。」
勘弁してよ
僕まで歯磨きしなきゃいけなくなる
「いつも言ってるけど、帰したならすぐに風呂に入って、歯を磨いて。
その間にご飯作っとくから。」
わかった。それだけ言うと兄は出ていく。
兄からのキスは今に始まったことじゃない。
もう一人の兄も弟も彼女たちを帰した後、何かしら僕にスキンシップをしてくる。
母が元々スキンシップ過多な人だからかは分からないが、日に日に過度になってくる。
いや、激しくなったのは“あるとき”からだが、、、
「はぁ、もう少し読みたかったけど時間も時間だし歯を磨いてご飯作ろ。」
一番上の兄・双木(なみき)が来たのなら、今日の子達はすでに帰っていったのだろう。
歯を磨き、リビングに行くと双木以外の二人がテレビを観ていた。
「二人とも、歯は?」
そう聞くと二人とも声を揃えて「「磨いた〜」」と返してきた。
弟の藍(あい)が首にかけたタオルを見て風呂上りなのを確認し、キッチンで夕食の支度をする。
双木が風呂から上がってくる前に仕上がるように野菜を切っていると、後ろから抱きしめられ片方の肩が重くなる。
「ナッキー、おかえり。
今日は帰り、早かったじゃん。ドア越しからでもナッキーの足音すぐにわかったよ。」
「ただいま、愛生兄。
ご飯作りたいから体重かけるのやめて。」
フフっと笑いながら、二番目の兄・愛生(あき)は僕の肩に乗せていた頭を持ち上げた。
それでも離れはしないようで、僕もいつものことだと気にせず料理を作り続けた。
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