第七章 霊媒師こぼれ話_レッツハッピーバスタイム

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詳しく聞けばこの部屋は、いわゆる事故付き曰く付き。 かつては霊の溜まり場で、朝夜問わず常に起こった怪現象に、これまでの入居者達は1カ月も経たないうちに逃げ出したのだという。 「この部屋はボスがファインド(見つけて)してくれたんだ。曰くつきで安くなってるってな!」 なるほどね、そうだったんだ。 でも……(キョロキョロ)その割に、どの部屋行ってもユーレーなんかいなかったけど? あ、分かった。 社長が祓ってくれたんでしょ。 見つけてきたのは社長だし、そーゆーの、ウチの会社の専門だしさ。 立てた予想に自信を持ってそう言うと、一緒に聞いてた(らん)さんが、眉をハの字にこう言ったんだ。 「ボ、ボクも聞いた話なんだけど……と、当初の予定は社長が祓うつもりでいたんだって。で、でも、その必要が無くなったって言ってたよ」 「なんで? 霊達が自発的に成仏したとか? そんな都合の良いコトあるの?」 「う、うん。け、結果的には自発的に、よ、黄泉の国に旅立ったらしいの。元々、恨み辛みで現世に縛られた霊達(ひとたち)じゃなかったんだって。なんとなく現世に残り、なんとなくこの部屋に集まってたみたい。それで、キーちゃんが入居して、1人の時もいつも通り(・・・・・・・・・・)のキーちゃんを、毎日毎日視てるうち ”このテンションをずっと視てるのツカレチャウ” ってなったらしくて……そ、それでどこか別の場所に行こうとしたのを、社長が黄泉に送り出したんだって」 (らん)さんの話を聞いて、僕は呆気にとられてしまった。 え、マジで? キーマンさんは探知の達人。 でも、霊の姿は視えなくて声だって聞こえない。 それなのに全員成仏させちゃったんだ。 その霊達が何人いたかは知らないけど、いつも通りの(・・・・・・)キーマン節でいただけなのに(だからこそ?)。
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