第五章 霊媒師こぼれ話_大倉弥生28才の飲んだくれライフ

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『うぃー……成仏は……そろそろするよ、サトクンの恋も実ったコトだし』 『ひっく……弥生ちゃんに憑いて来たのは……淋しそうに視えたからかなぁ』 『ほわぁ……サトクンを応援するのは……我々の恩人だからねぇ』 アタシが淋しそうだった……?  ん、まぁ……飲んだ後は高確率で淋しくなるけど、でも、なんだその ”ぜんぶ分かってます感” は。 大きなお世話だコノヤロー! ……って、でもそっか、ふぅん、それでアタシに憑いてきたのか、へー。 それよりも気になるのが佐藤君が恩人? オッサン達の? でもさ、佐藤君に霊感なんてないだろう? なのに助けてもらったのか? 「んー、なんか言ってる意味が分からない。佐藤君にオッサンらの姿は視えてないよねぇ。なのにどうして恩人になるんだよ。いつどこで助けてもらったんだ? もしかして生きてた頃の話? あ、あと、もっともっとお飲みなさい!」 聞いてみた、だって気になるじゃん。 だから唱えた、”もっともっとお飲みなさい!” 、きっとコレで色々喋ってくれるだろうと期待をすると…… 『うぃーーー! 酔っ払ってきたー! ああ、良い気分だ。サトクンが助けてくれたのは生きてた頃じゃあないよ』 『そそ、何年か前の冬だった、ホラ、我々消えかけてたじゃない。ひーーーっく!』 『祠が壊れて誰も直してくれなくて、もうこのまま消えるのを待つばかり……って時に、サトクンが祠を直して我々3人を助けてくれたの、ほわぁぁぁ』 ん? ホコラ……って祠? なんで祠なんだよ、祠? 祠……祠ぁ?  『んー? 弥生ちゃん、祠知らないの? うぃーーー!』 『祠って言ったらアレしかないでしょ。祭るヤツ、ひーーーっく!』 『だからね、早い話が我々みんな神じゃない、それで……ほわぁぁぁ』 ほろ酔いからへべれけれ。 オッサン達はゴキゲンで祠の説明をしたんだけどさ、……最後、なんて言った? 神……って言ったのか? オッサン達…………神様なの……? そんなショボイ視てくれなのに? ポロシャツ着てるのに? スッゲェ酒弱いのに? ………………え? マジで?
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