第五章 霊媒師こぼれ話_大倉弥生28才の飲んだくれライフ

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改めて3霊を視た、視た、……視たけどさぁ。 しょっぼ! どう視たトコロでそこらにいるオッサンじゃーん! 揃いも揃ってポロシャツ着ちゃって、ゴルフ帰りのサラリーマンって感じだし! 御髪(おぐし)は薄目の七三分けで、……いや、この割合は一九(イチキュー)か? とにかくキレーなバーコードでさ、スキャンをしたら幾から値段が表示されそう。 視た目年齢60手前の霊体(からだ)はひょろっと瘦せ型で、ヒトのこたぁ言えないけどさ、背だってぜんぜん高くない。 大体アタシとおんなじくらいで、せいぜい155センチ前後だろう。 ナイスミドルにゃ程遠く、ファニーな空気をばらいて、顔には無数の笑いジワ……あーでも、笑顔だけはカワイイわ。 作り笑いじゃなくってさ、愛想笑いでもなくってさ、心の底から今楽しい! って、オッサン達はそんな顔で笑うんだ。 突然の ”神申告” に頭ん中はグルングルン。 ま、その大半はツッコミなんだけどな。 『あら! あらららー! 弥生ちゃんが黙り込んじゃった! うぃー!』 『コレアレだ、私達の正体を聞いてビックリしたんだよ! ひーっく!』 『え!? そうなの!? うわー! こういうの久しぶりじゃない!?』 キャッキャウキウキ!(ほっぺ真っ赤で激笑顔) キャッキャドギマギ!(御髪(おぐし)乱してやっぱり笑顔) オッサン達は酔いもあってか、ハンパじゃねぇほどはしゃいでる。 やれ ”正体バラしちゃったぁん!” だの ”最後まで隠すつもりだったのにぃ!” だの ”願い事、1コだけなら叶えちゃおっかなー!” だの(え、マジで?)、ウルセェったらありゃしない。 つーか、おまいら本当に神様か? ゴルフ帰りの飲み会みたいなノリしやがって。 パチこいてんなら天罰確定、あやまるんなら今のうちだ。
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